既存の貨物線トンネルを活用し、りんかい線を羽田空港へ延伸

2013年11月11日

羽田空港の地下トンネルを通る、既存貨物線路を活用する延伸計画

普段利用していても気づかない人も多いだろうが、大崎と新木場を結ぶ東京臨海高速鉄道りんかい線には、「東京テレポート」駅と「天王洲アイル」駅の途中から分岐し、海底トンネルを通って大井埠頭にある八潮車両基地までつながるレールが敷設されている。りんかい線は、元々旧国鉄時代に横浜・川崎方面から臨海部を通り千葉方面とを結ぶ京葉貨物線として建設された路線だが、計画変更により大崎と結び埼京線と直通運行する旅客用路線として誕生したという経緯がある。つまり大井埠頭へ通じるルートが本来の線路であり、大崎ヘと向かうルートは旅客転用のため後から追加されたルートで、既存線路は車両基地を設置することで活用されているというわけだ。

一方で、八潮車両基地に隣接する東京貨物ターミナルからは「羽田空港」の「天空橋」駅付近の地下を通り、川崎・横浜方面へと東海道貨物線が通じている。八潮車両基地付近でりんかい線と東海道貨物線を結び、天空橋付近から空港ターミナルへの分岐線を設けることで「羽田空港」への新アクセスルートを開拓、千葉方面や臨海部からの利便性を改善しようというのがこの延伸構想だ。

りんかい線延伸計画図
りんかい線延伸計画図

 

国土交通省の答申にも記載された構想、実現可能性は高まるか?

この計画は2000(平成12)年に政府から発表された運輸政策審議会第18号答申においても「東京臨海高速鉄道臨海副都心線の建設及び羽田アクセス新線(仮称)の新設」というかたちで触れられている。大崎方面からの直通ルートについても併せて検討する、とも記載されているものだ。また、「京浜臨海部再編整備協議会」でも、東海道貨物線を貨客併用化しようという検討が進められている。このルートは品川から東京貨物ターミナル、浜川崎を通り桜木町に至るもので、既存路線に加えて新規路線も設置するという構想だ。

いずれも具体的な計画までには至っていなかったが、臨海部はオリンピック・パラリンピックの主要会場でもあり、空港からのアクセス改善という需要が浮上してきたため、注目度が高まっている。既存の線路を活用することができるので、コストをかけず短期間で実現ができる可能性も高く、具体化の動きが出ることに期待が持たれている。

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■参考■

http://kakyaku.com/t_rootmap.html

http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0811/14/news069_3.html

 

■開発種別:新線・新駅
■エリア:東京都・東京テレポート駅〜羽田空港駅
■完成時期:未定(構想)
■事業主体:東京臨海高速鉄道