東京を世界一の都市へ
国際新都心のシンボルタワー「虎ノ門ヒルズ」完成

2014年6月6日

虎ノ門ヒルズ

2020年の東京五輪に向けた日本の新成長戦略「国家戦略特区制定」にともない、開催地である東京都では現在、“東京を世界一の都市へ”をスローガンに、大規模な都市再生事業が進んでいる。中でも“世界中から人・モノ・金融を集める”ことを目的とした「アジアヘッドクオーター特区」のひとつに制定されている東京都心・臨界地域(ほかは「新宿」駅周辺地域、「渋谷」駅周辺地域、「品川」駅・「田町」駅周辺地域、羽田空港跡地)のうち、虎ノ門・新橋エリアは、東京都が特定建築者として森ビルを選定。虎ノ門と新橋を結ぶ、環状二号線の整備(2014(平成26)年3月開通)に合わせ、環状二号線上に国際新都心構想の拠点となる「虎ノ門ヒルズ」の建設を計画、環状二号線の整備と「虎ノ門ヒルズ」の建設を一体的に行うという、総事業費約2,340億円(うち森ビル投資額1,400億円)をかけた巨大プロジェクトが進められてきた。

去る2014(平成26)年3月29日、環状2号線(地下・地上2層構造、地上部通称が「新虎通り」)が開通。続いて6月4日に「虎ノ門ヒルズ」が竣工。11日の開業を目前に控えた4日、「虎ノ門ヒルズ竣工記念式典」が行われ、森ビル株式会社 辻 慎吾代表取締役社長による竣工記者会見が開催された。

東京の新しいランドマーク
「虎ノ門ヒルズ」とは?

地上52階建・高さ247mの超高層複合タワーで、都内では2番目に高いビルだ。また、道路上に建物を建築することができる「立体道路制度」を活用したプロジェクトということもあり、新橋側から「新虎通り」を進んだ場合、「新虎通り」は虎ノ門ヒルズ前の愛宕1丁目で地下に入り、地下トンネルの環状2号線と合流、虎ノ門ヒルズの下を通って、虎ノ門2丁目で再び地上に出るという、これまでにない構造になっている。
地下1~4階は30,000平米の駐車場スペース、地上1~4階は飲食店を中心とした25店舗の商業施設が展開。エントランス前には芝生の広場が広がり、テイクアウトして芝生で食べることもできる。4~5階には国際会議や展示会まで対応する、エリア最大規模のカンファレンス施設を備え、6~35階は1フロア約1000坪、ガラス張りの壁面からは素晴らしい眺望が広がるオフィスフロアとなっている。竣工前のかなり早い段階で情報通信関連を中心にほぼ全フロアの入居が決定していたとのことで、「虎ノ門ヒルズ」の話題性の高さがうかがえる。37~46Fは総戸数172戸のレジデンス(住宅)、47~52Fは、ニューヨーク、ロンドン、上海ほか世界各地のリゾート地に展開するライフスタイルホテル「アンダーズ東京」が日本初進出を果たした。

虎ノ門ヒルズからの景色虎ノ門ヒルズ オフィスフロアからの景色
虎ノ門ヒルズ レジデンスレジデンスからの眺望も格別だ
虎ノ門ヒルズ 内観

また、敷地面積17,000平米のうち、約6,000平米をオープンスペースとし、東京都が進める「グリーンロードネットワーク」の基点として、緑豊かな都市環境を実現していることもポイントだ。 駐車場など、従来は地上にあったものを地下に移し、建築物を高層化することで地上に広がりを持たせ、緑を育む。「虎ノ門ヒルズ」の構造は、森ビルが提唱する「バーティカルガーデンシティ」が、まさに具現化されたものといえるだろう。
水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の復活を目指して、都内の街路樹を100万本に倍増し、都立公園などの「緑の拠点」を街路樹でつなぐプロジェクト(森ビル資料より)

 

「Hello, Mirai Tokyo!」
トラのもんが描く未来の都市

また、虎ノ門ヒルズと一体化して整備された「新虎通り」は、東京都が「東京シャンゼリゼ通りプロジェクト」と銘打ち、グローバルな都市空間を目指した開発が進む。幅13mの広い歩道には、「さまざまな屋台が並んだり、パフォーマーが出たり、劇場やギャラリーなどの文化施設が並ぶ、日本を代表する活気のある通りを」というように、周辺の風景はこれまでの都市風景とはかなり違ったものになるだろう。こうしたエリアマネジメントは、「立体道路制度」の法律が成立したために実現したものだ。記者会見で辻代表取締役社長は、虎ノ門ヒルズおよび周辺の開発について、「官民連携によって道路と一体整備した虎ノ門ヒルズは新しい都市再生事業のモデルである」と述べている。つまりこれまで事業者は建物を建てるだけだったが、官と連携することで、たとえばバスターミナルの設置など、周辺のインフラや公園などの整備なども含めた、より幅の広い都市開発が可能になるのだ。

さらに辻代表取締役社長は、虎ノ門ヒルズを起爆剤に、六本木五丁目西地区、虎ノ門・麻布台地区など、周辺地区には今後10年間で10程度(区域面積合計約22ha、延床面積約220万平米)の大規模都市開発プロジェクトを推進すると発表。いずれも地上200m規模、1,000~1,400立方メートルの容積率をもつ高層ビルを含み、新規住宅約3,000戸が供給されるという。
東京シャンゼリゼプロジェクトに関する情報はこちらをご覧ください

トラのもんトラのもん  ℂ藤子プロ / ℂ森ビル

虎ノ門ヒルズのキャラクターは100年後の東京からやってきた「トラのもん」だ。
「都市を作り、都市を育む。東京を世界の都市環境層に勝てる都市にしていく一翼を担いたい。東京の未来はここ、虎ノ門ヒルズから始まる。今日がその第1日となる」。
もはや、ビルの背比べだけでは語ることはできない。都市開発はすでに別次元に入っており、未来都市は描かれているのではなく、すでに着工されている。

虎ノ門ヒルズはにその象徴といえるだろう。トラのもんは我々に、どんな未来都市を見せてくれるのだろうか。