東京オリンピック・パラリンピック関連施設の建設が予定される東京都心・臨海地域は、国家戦略特区やアジアヘッドクォーター特区にも指定されている注目度の高いエリア。民間開発による都市再生事業や土地利用転換が積極的に行われており、今後も開発や国際化が進むと見込まれている。すでに再開発によって多数のタワーマンションが建設され人口が急増しているが、さらにオリンピック選手村施設は大会終了後に集合住宅への転用が想定され、約1万2,000人の人口増加も予想されている。また築地市場が2016(平成28)年秋に「東京都中央卸売市場 豊洲市場」として移転オープンすることによっても多くの人が臨海部へ集まることが想定される。
その一方で、中央区の晴海地区は鉄道駅がなく、最寄りの都営大江戸線「勝どき」駅や「月島」駅まで500m以上のエリアが多い交通不便地域。2019(平成31)年度には都心と臨海部を結ぶBRT(バス高速輸送システム)の運行も予定されているが、交通需要の拡大に対応するために、定時性や輸送力に優れる新たな構想として「都心部・臨海地域地下鉄構想」が東京都の広域交通ネットワーク会議から提言された。
具体的には、都心部の起点を銀座付近、臨海部の起点を国際展示場付近に想定し、1~2kmの間隔をあけて中間駅を3駅設置するとしている。臨海部は川や運河によって地形的に分断されているエリアも多いことから、駅の設置によって利便性が大きく改善されそうだ。
現在の東京圏の鉄道整備は、2000(平成12)年の運輸政策審議会答申第18号に基づき整備が進められているが、この地下鉄計画は答申には盛り込まれていない新たな構想。また同時に「都心部・品川地下鉄構想」も打ち出されており、今後は財源や事業主体、周辺路線への影響などを検討していくことになる。2015(平成27)年度中には、今後15年間の鉄道計画を網羅する新答申が出される予定だ。2020(平成32)年のオリンピック開催には間に合わないが、臨海部の未来を考えると重要な交通アクセスとなるだろう。
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■参考■
広域交通ネットワーク計画について(東京都) 平成27年7月
■開発種別:新線・新駅
■エリア:東京都・中央区~江東区
■完成時期:未定(構想)
■事業主体:未定
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